スクリャービン 詩曲 Op.32 全曲の動画集です。
2010 コンペティション決勝/2010 PTNA Piano Competition
「ピティナ・ピアノ曲事典」より
スクリャービンが初めて《詩曲》と名づけた作品。1903年、31歳の時にモスクワで書かれた。これは、ちょうど初期から中期への移行を遂げる節目の時期にあたり、前年(1902年)には、モスクワ音楽院でのピアノの教授を辞職し、作曲への専念を決意している。実際に、この作品の他にもこの年には多くの詩曲が作曲されている。
第1曲目は「アンダンテ・カンタービレ」と指示された8分の9拍子の曲。ソプラノとテノールにあたる声部が二重唱を繰り広げる部分と、両手でポリ・リズムによる分散和音を弾く部分とが交互に示される。形式としては、「ABA’B’」の2部構成となっている。全体を属9の和音の響きが支配しているが、スクリャービン後期の最たる特徴ともいえる「神秘和音」が早くもその姿を見せている。なお、前半の「B」にあたる部分は4分の3拍子に変化するが、後半の「B’」は8分の9拍子のまま書かれている。
第2曲目は「アレグロ・コン・エレガンツァ コン・フィドゥーチャ(自信を持って)」と指示された4分の4拍子の曲。属7の和音や属9の和音が多様に変化された形で響く。3部形式で書かれたこの曲は、第1曲目とは打って変わり、和音の連打による力強さを持つ。
「ピティナ・ピアノ曲事典」より
ロシアの作曲家、ピアニスト。10度音程が掴めない程度の手の持ち主だったにもかかわらず、学生時代の同級生ヨゼフ・レヴィーンらと、超絶技巧の難曲の制覇数をめぐって熾烈な競争を無理に続け、ついに右手首を故障するに至った。回復するまでの間に、左手を特訓するとともに、ピアニストとしての挫折感から作曲にも力を注ぐようになる。右手以上の運動量を要求され、広い音域を駆け巡ることから「左手のコサック」と呼ばれる独自のピアノ書法を編み出した。1900年ごろから神智学に傾倒し「神秘和音」という独自の響きを用いた楽曲を作曲した。
音を聴くと色が見える「色聴感覚」保持者としても有名。
日本のピアニスト。武蔵野音楽大学卒業、同大学院修士課程修了。2003年第27回ピティナピアノコンペティションF 級全国決勝大会ベスト10賞。2010年第34回ピティナピアノコンペティション特級銅賞。
「ピティナ・ピアノ曲事典」より